プロダクトアウトとマーケットイン。PdMはどちらを大事にするのか

PdM

プロダクトアウトとマーケットイン。最近?の流行りの言葉になっていますよね。企画業務をする方であれば、意識していなくてもその企画がプロダクトアウトなのかマーケットインのいずれかにあたります。そして、状況によりプロダクトアウトで施策を作るのか、マーケットインで施策を作るのかがおおよそ決まっており、それを間違えると上手くいきません。現場の声でいうと「なんだよ、このサービス。ウケないって…」みたいな声です。

本日は実際にWeb業界でIT戦略のPdMとして働く私が、日々の業務を行う中でプロダクトアウトとマーケットインの使い分けについてお話したいと思います。私もまだ完璧に使い分けれているわけではなく、日々改善中です。なので、正解をお伝えできるわけではないと思いますが、参考にしてもらえれば幸いです。

プロダクトアウトとは

プロダクトアウトとは「企業側の理念や思想を反映させた商品(プロダクト)を作り、それを売る」というものです。世の中的にはまだ存在しない商品だったり、「この商品は◯◯社の色がでてるよねー」と言われるようなプロダクトはプロダクトアウトです。

いわゆる、0➔1の思考力が強い人はプロダクトアウト好きな傾向にあり、世界観を持っていることが多いです。当たれば大当たり、外すと大ゴケの特徴があり、思い切った投資になります。そのため、中小やベンチャーはこのやり方を取ることが難しく、大企業の得意戦術と言えます。

また、確固たる世界観を持った企画側と現場でお金を集める社員では、考え方が違うことがしばしばあるため、「また変な商品作ったよ」と言われたりもします。そのため、良いプロダクトであっても、それを上手く売れない社員が続出しがちです。そのため、プロダクトアウト好きな方はプロダクトを作ることだけに満足せず、現場の社員がどう売るのかまで考える必要があります。プロダクトアウトでいくのであれば、そこまでしないと成功は難しいと言えます。

わかりやすく説明してるのはYouTube大学のこちらです。
Youtube大学見てるだけだと浅い…なんて言われますが、大枠を捉えるにあたって、何やかんや分かりやすいと思っています。

マーケットインとは

マーケットインとは「クライアントやユーザーのニーズに合わせた商品設計をして、売る」というものです。「◯◯社の商品は安定感あるよね」「◯◯を買う時に□□にいけば、絶対にある」と言われるのはマーケットインの考えが色濃いと言えます。

1➔100に積み上げることが得意な人はマーケットインが得意な人であり、データ分析ができたり、言葉にでてこない相手の思考を読み取る力のある人はマーケットインが上手です。プロダクトアウトがパワー型だとすればマーケットインはインテリ型であり、論理的で物事を構造化して捉える力に長けています。そのため、商品を作る力も強く作れば大体当たります。しかし、大当たりすることはあまりありません。また、マーケットインの行く末はコモディティ化であり、市場が停滞していく未来を作っています。「◯◯業界は発展しないねー」なんて言われてしまうのは、マーケットイン型の社員が集まりやすい、なりやすい業界と言えます。

余談ですが、出世しやすいのはマーケットイン型の社員です。感覚や世界観で押さずに数値や声を定量的にして形にしているため、社内での納得感も得られやすくリリースしても比較的に当たります。もしかしたらプロダクトアウトで商品を作りたいと思っているかもしれませんが、まずはマーケットインで力を示して出世した後に好きなことがやれるポジションになってからにしましょう。

日々の改善改修ならマーケットイン

私の場合はWebサービスを扱う立場なので、その目線でお話しますが、日々の改善改修業務をする際はマーケットインです。
・DBを見て定量的なデータを繋ぎ合わせる
・いくつかの競合他社を見比べて共通点を見つけ出す
・社内の成功例をカスタマイズして取り入れる
・各種セミナーを見て回り、確かな流行りを見出す
・SNSの声から為になる意見を拾い上げる
といったように既にあるモノを上手く商品化、機能化していくことが大事です。マーケットインで改修をしたり、マーケットインで作られたであろう機能やサービスを真似る作業です。どこかセコいように思えますが、そんなことはありません。

「ワイは◯◯みたいなものがあると便利やと思う」といって、プロダクトアウトの思想強めで改善改修をしてしまう方がよっぽど危険です。経験則や感覚で改善改修をした時にもしかしたら、上手くいくかもしれません。しかし、何回も何回も成功はしません。必ずどこかで外します。改善改修は打率が大事です。ホームランは必要ありません。イチロー型の選手であることが正義と言えます。そういう世界観である故にプロダクトアウトでホームランを狙うのではなく、マーケットインの打率選手を目指していきましょう。

中小、ベンチャー企業なら徹底的にマーケットインを貫く

中小、ベンチャー企業がスケールアウトしていく上でマーケットインは欠かせません。プロダクトアウトは大当たりか大外れであるため、リスクある選択です。中小やベンチャー企業は資金力の問題があるため、外せば社員を路頭に迷わせることにも繋がります。また大当たりか大外れと言いましたが、当たり2割、外れ8割であるため50%で勝てる勝負ではありません。

徹底的にマーケットインを貫き、小さく積み上げていくことでスケールアウトさせていくことが最善策です。中小企業であればこの考えを徹底して取り組むことができますが、要注意すべきはベンチャー企業です。ベンチャー企業は社長も社員も前のめり的であり成長意欲や大成したいという野望を持ちがちです。そのため、プロダクトアウト思考の強い社員が集まりがちです。その欲求を捨てきれずにやりたいことをベースにプロダクトを展開するとほぼ100%失敗します。

ベンチャー企業が目新しいサービスを展開しているケースも決してプロダクトアウトで作られているわけではなく、マーケットインの考えをベースに作られています。現状と課題を正確に捉えて求められるであろうサービスが展開されています。

プロダクトアウトは22%の挑戦領域

プロダクトアウトとマーケットインの話をしてきましたが、「マーケットインの方が良いでしょ」的な展開で話をしています。それが基本的には正しいと思っているからです。しかし、マーケットインを貫き続けても市場は停滞化しますし、単価の下がる単勝1.3倍の馬券を買い続けるような戦いです。今日買った馬券は1.3倍で13,000円手に入れることができるかもしれませんが、来年買う1.3倍の馬券は1,300円になっているかもしれません。要するに勝てる選択かもしれませんが、その市場は小さくなるばかりでその勝ち分は少なくなるばかりです。

市場を作りながらも確実に勝ち続けるには、一定のプロダクトアウト領域が必要です。その割合は78:22で考えています。78%はマーケットイン、22%でプロダクトアウトをする戦術です。これは何事も78:22で成り立っているユダヤの商法による考えです。馴染みのない方にはオカルトチックに聞こえてしまいますが、結構重要な大事な考えです。挑戦するなら22%の配分でプロダクトアウトの挑戦領域を作っていきましょう。

プロダクトアウト社員とマーケットイン社員はバランスが大事

プロダクトアウト思考の強い社員とマーケットイン思考の強い社員は傾向があり、好き嫌いでいえば、プロダクトアウト好き8割、マーケットイン好き2割になりがちです。しかし、好き嫌いに分かれて仕事をしてもらうと確実に失敗します。プロダクトアウト好き8割の内、6割はマーケットインの仕事ができるように教育していく必要があります。

また、プロジェクトを組む際も2割はプロダクトアウトで思考するメンバーをジョインさせ、8割はマーケットインで組むのが理想です。そうでないとプロジェクトが膨らみすぎて進行しなかったり、デスマーチ系のプロジェクトになりがちです。ふくらませるメンバーを少なめにして、クロージングできるメンバーを中心に組むのがベターです。

PdMはプロダクトアウト?マーケットイン?

プロダクトマネージェーはプロダクトアウトで考えるべきなのかマーケットインなのかについてですが、基本的にはマーケットインだと思っています。
CEO

PdM

PM
のような組織体制になっており、CEOが「◯◯みたいなサービス作るぞ!」と言えば、
What/Whyに中心に何をなぜ作るのかを徹底的に絞り込んでいきます。そしてプロダクトとして形にしてどう販売していくのかを練っていきます。そして、PdMの役割の1つには顧客の課題を解決することがあります。そのため、マーケットインの思考が重要です。CEOが(恐らく)プロダクトアウトで考えた思いつきに近いサービスをマーケットインの要素も組み込みながらプロダクトにしていくイメージです。CEOの顔を気にして、CEOにウケるようなプロダクトアウトで作っていくのはあまりよくありません。

市場の代弁者と言われるPdMなので、ニーズを正確に汲み取りながらビジネス性もあるプロダクト(マーケットイン思考)を創出していく必要があります。

まとめ

基本的にはマーケットインの考えで仕事をすることが良いと思われます。プロダクトアウト思考で仕事をするのは楽しいですが、それはそれなりの立場でそういったことをする余裕が生まれてからにしましょう。また、PdMを目指す方は日頃からマーケットインの思考をすることが重要であり、その役割もマーケットインにあります。

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