あなたはWebディレクターWebプロデューサー?PdM?なんちゃってPdMにならないように

PdM

昨今、PdMという言葉が流行っている弊害で「PdMって言ってるけど、それWebプロデューサーじゃない?」「そもそもWebプロデューサーって何?」「じゃあPdMって何なの」といったように、職種に対する正しい役割が周知されていないこと・自分を過大見せたい願望と相まって皆がPdMと名乗る自体になっています。

理想の自分をPdMとして、まずは名乗ることでその姿に近づけていく一環であれば問題ないと思いますが、意味を履き違えてPdMと名乗るのは真面目にPdMをやっている方に失礼とも取れます。

そのため、本日は
・Webディレクター
・Webプロデューサー
・PdM
という線でつながる職種をそれぞれご説明しつつ、自分がどこに該当するのかを正しく認識する機会にできればと思っています。

それぞれの職種は目的が異なる

近しい役割に見える職種を差別化する要素は「何を目的に仕事をしているか」です。
営業:自社の商品をクライアントに販売すること
CS(カスタマーサクセス):クライアントに対して自社の商品を最大化させていく
といったように、各々が異なる目的で働いています。

Webディレクター、プロデューサー、PdMも同様に目的が異なります。
かくして私もWebディレクター、Webプロデューサー、PdMといったキャリアで進んでいますが、それぞれの場合において目的が異なっていたと分かります。逆に言えば、自分が何の職種なのかがわからない場合は「自分は何目的で業務をしているんだ」というのを振り返ってみると分かりやすくなります。その目的を知ることで自分が何の職種にあたるのかを知ることができます。

Webディレクターは依頼に対して確実なリリースすることが目的

Webディレクターの目的は「案件リリース」です。事業会社と制作会社で状況は異なりますが、社内外にオーナーがいてその人が望むリリースに対して納期を意識した動きが主になります。

よくあるケースとして「この案件いつリリースできそう?」「○日にはリリースしたいんだけど」と相談されて、それに対して制作や開発、テストなどの各工程の方々に調整を欠けていくことをしている場合はWebディレクターです。

Webディレクターの役割は多岐に渡りますが
・オーナー、Webプロデューサーと細かい要件を調整
・各工程に下ろす要件定義の作成
・各工程のQAに対して応対しながら、時にはオーナー、Webプロデューサーと交渉をする
といった業務をメインにされている方はWebディレクターと言えます。

WebディレクターはQCD改善が極まっていく

Webディレクターの役割が案件リリースといいましたが、
・リリース後のバグに追われる
・そもそも仕様を満たしていない
・リスケリスケでリリース日がブレまくる
・工数が膨らみすぎて費用がかかりすぎている
といった場合は新米Webディレクターと言えます。Webディレクターは実力差がかなり出やすい職種でもあり、優れたWebディレクターはQCDのレベルが高いです。

経験やスキルのあるWebディレクターとそうでないWebディレクターが同じ案件にあたる場合の差は歴然であり、優れたWebディレクターは
・案件を聞いただけでおおよそのリリース日が引ける
・バグの出やすいポイントや仕様の認識ズレに対しての認識共有を念入りにする
・工数はかかるAプランと工数のかからないBプランの提示ができる
といったように、押さえるところを押さえながら上手く進めます。

優れたWebディレクターは最初からこういった芸当ができるわけではなく、数百の案件をこなすことで身についていきます。
・文言の修正案件
・色味を変えるABテスト
・使用頻度はそこまで高くないページの設計
などの小さい案件を何十もこなした上で
・DBとの通信が起きるページの設計
・インプットページの設計
・LPを1から設計
・サーバのリプレイス
・データベースの設計見直し
・速度改善
など徐々に重い案件をこなしていくことで原体験を基にした確かなスキルとなっていきます。

Webディレクターこそ各工程のプロにならなければプロのWebディレクターにはなれない

WebディレクターとしてQCDの改善を進めていく過程で気づきます。
・自分はプログラムもできないのに各工程のパフォーマンスを最大化できるのか
という考えです。プログラムが書けないのにプログラマーに対してそれとない指示をしたり、デザインについて理解が浅いのにそれとなり指示をしているとこういった考えにたどりつきます。

この思考は自然であり、そこにどう向き合うかでWebディレクターとしての練度の差がでます。個人的にはプログラムが書けたり、デザインが引けなければプロのWebディレクターではないとは思いません。しかしながら、プログラムの仕組みを深いレベルで理解していたり、デザインの鉄板や他サイトのデザインを参考にして知識を高めることは必須と言えます。

また、その知識があるからこそ案件をどう進めるかに差がでてきます。
・理解が深いからこそ、後でヤバい自体に陥るようなミスが起きない
・不必要に工数を盛られることがない
・伝書鳩になっていない
というのは各工程の理解が深いからこそと言えます。

良いハンターは動物に好かれるもんだ。という言葉がありますが、Webディレクターも同様です。良いWebディレクターはプログラマーやデザイナーから好かれています。

進行管理だけに業務範囲を絞るとWebディレクター止まり

優れたWebディレクター程頼りになるものはないのですが、Webディレクターとして働いている身としては「こんな給与じゃ満足いかねぇよ…」という気持ちになっていきます。これはWebディレクターの需要と供給による市場価値によるものだったり、Webディレクターが軽視されがちなことにより、待っていてもなかなか年収は上がりません。

今よりも高い年収をゲットしていくためには、業務範囲を広げていく必要があります。
言葉にするとシンプルな進行管理ですが、この範囲から脱却していくことが求められます。次のステップはWebプロデューサーになるわけですが、ここに向けた動きが必要になってきます。

Webディレクターをしていると、進行管理だけでも結構な労力と責任が伴う中で
・こうした方がCVが伸びる
・そもそもこんな仕様じゃなくて、こうした方が良い
といった思考は自分の首を絞める行為です。なぜなら、案件を確実にリリースすることを求められる中で自らちゃぶ台返しをしてやり直していくためです。しかしながら、Webプロデューサーになってさらに年収を上げるためにはそのちゃぶ台返しが必要です。WebプロデューサーからしてもWebディレクターが案件のさらなる成功を望んだと思われる言動は頼もしいものです。そういった積み重ねをしていくことでWebプロデューサーへの道が開けていきます。

Webプロデューサーはサイトの成長を促していくことが目的

Webプロデューサーはクライアントのサイトや自社のメディアを成長させていくことが目的です。KPIはACやCVになることが多く、その数値が評価につながることが多い職種です。

Webディレクターよりも評価のしやすい、差が分かりやすい職種です。優れたWebプロデューサーが担当するサイトは分かりやすくACやCVが伸びていきますし、戦略と戦術が練られているため、目先の上げ下げには動じずに1年タームや3年タームで確実な成果をあげていきます。

業務の中で「君はACやCVを伸ばすことが仕事だよ」という命題をもらっているような方はそのレベルがどうこうは置いといてWebプロデューサーとしての役割を求められています。というのも、Webプロデューサーは新卒でWebプロデューサーになる人もいれば色々な職種を経験した後にWebプロデューサーになる人もいます。そのため、Webプロデューサーという言葉は重いですが、レベルの差が激しい職種です。

WebプロデューサーはWebディレクター上がりが必須ではない

Webプロデューサーの役割はACやCVを伸ばすことですが、伸ばすために行う案件を練るためには様々な知識や経験が必要です。そうなるとWebディレクター上がりのWebプロデューサーが1番優れているように思えますが、必ずしもそうではありません。なぜならWebプロデューサーに求められることはWebディレクターの知識を必須としないこともあるためです。しかしながら、Webディレクター上がりが活躍しやすいのも事実です。

Webプロデューサーの業務は多岐にわたり
・デジタルマーケティング領域の知識
・戦略戦術を練り、勝つためのプランを描く力
・Webディレクター等に伝える力
・業界知識
・競合の動向
・トレンドのキャッチ
・プログラムやデザインに関する体系的な知識
・SEOに関する知識
・分析力やマーケティングツールの活用
といった枠に囚われない知識を有しながら業務に当たる必要があります。これらの知識をしっかりと血肉にしていることで、打率の高いWebプロデューサーになっていきます。ACやCVを伸ばすにあたり、まぐれのホームランを打つこともあります。しかしながら、上記の知識を持っていない状態であれば、2回、3回はありません。どんな場面であっても確実に成果を残すWebプロデューサーは確かな知識を持っています。

Webプロデューサーになるにあたって
・WebディレクターからWebプロデューサーになる
・営業部からWebプロデューサーになる
・新卒からWebプロデューサーになる
・マーケティング領域からWebプロデューサーになる
といった様々なルートがあります。どのルートからWebプロデューサーになったとしてもいきなりすべての知識を持っていることはありません。持っている強みを活かしながら存在を発揮しつつ、足りないスキルや知識を補う働きが必要と言えます。

優れたWebプロデューサーは市場や心を読む勘所が良い

すべての話を台無しにしてしまうようですが、優れたWebプロデューサーはセンスがあります。役割の特性上、案件を立案することの多い職種です。そのために様々な知識を組み合わせ、分析をして案件を立案していくわけですが、やたらと立案能力に優れたWebプロデューサーがいます。これは人に伝えるには難しい言語化しづらい読みが優れているからと言えます。

日々の業務で確実な力をつけていくのとは別に
・一般人の価値観に対する変化に敏感
・色々な業界を何となく知っており、次の流行りが見える
・若い頃から無数のWebサイトを見てきており、流行るサイトで廃れるサイトを知っている
・サイトを使う人にとっての「こういうのでいいんだよ」が感覚で分かる
といったことに敏感です。

PdMはプロダクトビジネスを成功させることが目的

PdMは扱うプロダクトを用いたビジネスの最大化を目的としています。WebプロデューサーやPMと混在されがちであるため、「PdMって結局何?」となりがちですが、自社のプロダクトを用いてビジネスを広げていくことが求められます。これは既にあるプロダクトもそうですが、新しくプロダクトを創出することも含まれております。

今までよく言われていたプロジェクトマネージャーとの差ですが、現場で例えると
PM:プロジェクトの成功(無事リリース)を目的とする
PdM:プロダクトビジネスの成功を目的とする
と考えると分かりやすくなります。PMの主な仕事としては
・プロジェクトメンバーのアサイン
・顧客と要件の合意形成を取る
・要求の整理及び要件定義への落とし込み
・QCDの担保
・進捗管理
等々があります。どちらかと言えば、Webディレクターの最終形の1つであり「○○みたいなシステムを入れたいんだけど」という大きなプロジェクトをリリースまで担保するのがPMと言えます。

一方でPdMは言葉は似ていますが役割が全く異なります。自社商品がある場合、その商品(プロダクト)の拡大させていくことが求められます。そのため、行う業務も別であり
・経営方針や市場を理解した上での既存プロダクトの改善、新規プロダクトの創出
・営業サイドの売り方まで想定したプロダクトの設計
・競合プロダクトの差別化
・継続利用を見据えた使い込み要素
等々、プロダクトをより極みに近づけていきます。PMのKPIがリリースまでの担保であれば、PdMのKPIはよりビジネスサイドに寄っており売上やプロダクトの希少性に対するものになることが多いです。

PdMはどの職種からもなれるが…

PdMはWeb領域で活躍してきたWebプロデューサーの上位種であると言われることがありますが、必ずしもそうではありません。なぜならWebプロデューサーの業務とPdMの業務は被る部分もあればそうでない部分も多いためです。しかしながら、PdMとしてプロダクトの改善や創出を行う上でWeb領域の知識がすべからず求められることを考えば、Webプロデューサー上がりのPdMが活躍しやすいこともあります。

PdMがどの職種からもなれると申し上げましたが、どの職種からPdMになったとしてもそれだけだと役不足です。
【Webプロデューサー上がり】
ビジネスサイドに弱いことが多く、ビジネスモデルまで考慮したプロダクトを練る体験が少ない。
【営業上がり】
売れるポイントや営業側の動きを想定することはできるが、Web領域の知識不足によりプロダクトの改善力、創出力に弱いことが多い
といったように、なりたてのPdMは成長段階にあります。

エセPdMの見極め方

昨今、PdMという言葉が独り歩きしている感が強く、誰しもがPdMと名乗るケースが増えてきました。また、企業側の採用状況を見ても「PdM募集」といった求人をよく見かけます。殆どが自分を大きく見せようとしているか正しいPdMの理解がないまま募集を書けていることが多いです。

PdMと名乗っている人を多く見てきた中で、私なりにエセPdMとそうでない方を見分けてきたポイントは
・営業で商品企画をしてきた原体験をPdMの経歴とする
・Webプロデューサーで改善やプロジェクトをしてきたことをPdMの経歴とする
といった場合はエセPdMであることが多いです。勝手にPdMと名乗ることに罪はないので、どうこういうつもりはありませんが、PdMを採用する際には気をつけていただきたいです。
・具体的にどんなプロダクトを扱ってきたのか
・どんな改善や創出をしたのか
・どういった意図で生み出された改善、創出なのか
・プロダクトの改善、創出は本当にあなたが考えたものなのか
・PdMとして日々勉強していることはあるのか
等々、深堀り必須の職種と言えます。そのチェックが甘い状態で採用してしまうとミスマッチを起こすことがあります。

まとめ

Webディレクター、Webプロデューサー、PdMはそれぞれ目的が異なります。自分が何の職種なのかを知ることにも役に立ちますし、今後なりたい職種に自分を近づけていくためにもそれぞれの職種に対する目的を知ることが大事になってきます。

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